【胃炎】 ピロリ菌について 【消化不良】
ピロリ菌とは、胃の中に住み着いている菌の事です。
昔は、強酸の胃液がある胃では、菌類は繁殖できないと思われていましたが、実際には、胃にはピロリ菌と言う菌が住み着いていました。
ピロリ菌が胃にすみ続けることが出来る理由
胃液のような強酸の中で耐えられる菌はほとんどいません。
しかし、ピロリ菌は以下のような理由から、強酸の胃液が充満した胃の中でも生きることが出来ます。
1. 胃粘膜のすぐ上の中性の粘液の中に住んでいるから
2. アンモニアを作り出して胃酸を中和させているから
このようなことから、ピロリ菌は胃の中で住み、繁殖し続けることができますが、このことによっての胃のほうはダメージを受けてしまいます。
そのダメージは以下の通りです。
1. 胃炎が起こりやすくなる
2. 消化不良が起こりやすくなる
1は、ピロリ菌の胃の粘膜を壊す働きのために起こる症状で、このピロリ菌による胃炎は胃がんの原因になるとも考えられています。
(胃の粘膜が破壊されて、胃壁にダメージが与えられやすくなるため)
2は、ピロリ菌が生成したアンモニアが胃液を中和してしまう事で起こる症状で、食欲不振や食後に胃が重くなる原因になります。
ちなみに、ピロリ菌の保菌者と非保菌者で胃がんになるかどうかの検査をしたところ、ピロリ菌の保菌者の2.9%に胃がんが発生しましたが、ピロリ菌の非保菌者では0%だったそうです。
(呉共済病院(国立国際医療センター)・上村直実医師の論文より)
ピロリ菌の感染経路
ピロリ菌は、飲み水や食べ物から感染します。
昔は、衛生的に悪い飲み水や食べ物が飲み食いされていましたので、ピロリ菌が感染しやすかったようです。(なので、40歳以上の8割〜9割近くの方が感染してしまっています)
でも、近年では衛生状態も改善し、若い人のピロリ菌の感染率も年々減ってきているようです。
ただ、いくら衛生状態が改善したとは言え、ピロリ菌の保菌者の親が子供に自分の口にしたものを与えたりしてしまうと、ピロリ菌に感染してしまうようですので、ピロリ菌の保菌者の方は、子供さんに口移しで食べ物を与えない方がよいようです。
ちなみに、免疫がちゃんと働きだす年頃になるとピロリ菌には感染しなくなるようですので、一度ピロリ菌を除菌した大人や、ピロリ菌に感染していない大人は、よほど免疫力が低下しないかぎりは、再度、ピロリ菌に感染することはないようです。
【参考文献】
一般社団法人 日本臨床内科医会
わかりやすい病気の話シリーズ 29 ピロリ菌と胃の病気より
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